メディカルスタッフ

2019年3月の医療法施行規則の改正に基づき、診療用放射線に関わる装置を備えている医療機関は、診療用放射線による医療被ばくに係る安全管理のために必要となる業務の実施及び方策として、医療被ばくの線量管理及び線量記録の実施が義務付けられました。
本シンポジウムでは、循環器領域における放射線診療として心臓CT、IVRを中心とした線量情報活かし方にフォーカスし開催します。CTにおいては線量管理方法、線量情報を検査プロトコルへの反映するためには?線量情報を患者さんにどう伝える?などを中心に2名の演者さんに各施設の状況についてご報告して頂きます。IVRにおいても、線量管理管理方法、PCIへの反映するためには?医療スタッフ及び患者さんへの対応は?などを中心に2名の演者さんにご報告いただきます。
線量管理において線量情報の活かし方は、施設の背景など様々な課題など生じるため、実際の運用は困難なこともあると考えられます。本シンポジウムは出来ることだけでなく、出来ないていないこと、将来の展望について議論し、参加者の皆様に少しでも有益な情報を共有できるような運営を目指します。

IVUS、OCTをはじめとする血管内Imagingは、諸外国と比べて高いPenetration Rateを維持しており、冠動脈プラークの評価や適切なデバイス選択をするうえで、有用な診断ツールである。一方、Non-invasive 検査であるCTは、我が国の保有台数が世界と比べて高く、冠動脈疾患を疑う患者における有用な画像診断ツールであり、冠動脈の解剖学的評価と同時にプラーク評価も可能である。しかしながら、心臓CTで得られた定量的情報 (血管サイズなど) を十分、PCIに活かしきれていないのではないかと考える。本シンポジウムでは、心臓CTをPCIに最大限活かすべく、血管内イメージングと対比させることで、心臓CTの定量的・定性的評価の現状について議論を深め、将来に向けたCT-guided PCIの可能性について深堀りしたいと考える。

教育には「時代の変化とともに変えていく必要があるもの」(流行)と「時代を超えて変わらない価値のあるもの」(不易)がある。 Z世代と呼ばれる若者たちや、これからのカテ室業務に携わる方々への教育に関しても指導内容や方法を見直していく必要があるのかもしれない。電子化やSNSの普及など時代の変化に伴い、スタッフのニーズに合った教育方法や、今の教育の場で有効な方法は何なのかを考えていきたい。また、「変わらないもの価値のあるもの」に関しても振り返りながら、指導する立場の方々にも再考していただきともに成長できる場を提供したい。

心臓CT検査は循環器診療において必要不可欠となっている。形態診断だけでなく機能的診断、質的診断も行えるようになりその需要は増加しており、比較的簡便に検査が行えるため、まさに「CT First時代」が到来している。本シンポジウムでは、心臓CTの診かた撮りかたをはじめ、石灰化スコア、石灰化病変の攻略法、冠動脈プラークの性状評価にフォーカスをあて、心臓CTの現在と活かし方について議論し、参加者の皆様に有益な情報を提供できるように努める。

FFRは「この狭窄にPCIを行うべきか?」を判断するために役立つ指標で、カテ室で行うことのできる機能評価の一つとして認識されている。ただ標的の血管に対してワイヤーを挿入する必要があり、問題点が無いわけではない。昨今、技術の進歩によりワイヤーを用いずに冠動脈画像からFFR値を推定することが可能となり、その技術は全国に広がりを見せている。
本セッションでは、なぜFFRがPCIの適応判断として利用されているのか?というFFRの基本を復習するとともに、そのFFRをvirtual解析で表現できる技術を学び、「FFRはwire-basedからvirtualへ向かうのか?」というテーマについて経験豊富なメディカルスタッフとディスカッションを行う。

石灰化に対する治療戦略は、PCIを行う上で永遠のテーマの一つである。昨年石灰化に対する新たなデバイスが承認され、石灰化治療に対するデバイスの選択肢が増えた。イメージングデバイスも複数の選択肢があり、いかに正確な判断を行うかが重要なpointになっている。そこで、本セッションでは、① イメージングを用いてどのように石灰化を評価しているか、② ステント留置後のエンドポイントをイメージングからどのように判断しているかなどを中心に、経験豊富なプレゼンターから各施設における症例を提示頂き、ディスカッションを行う。

医師の働き方改革に伴い、カテ室でもタスクシフト/シェアが推進されている。それにより各職種への業務の拡大や移行、職種の垣根を超えて、カテ室内のスタッフで協力し合えることは何かを考える。さらに、タスクシフト/シェアが進んだ世界での各職種の新たな役割や、業務負担や責任の増大に対する改善策などを踏まえ、10年後のカテ室はどうあるべきか各職種の職能を活かした今後の展望についても語り合いたい。また、医師の少ない地域でもメディカルスタッフが協力することで、患者に質の高い高度な医療を提供できる可能性がある。今後、メディカルスタッフの活躍の場が増えることでのメリットや、乗り越えなけれがならない壁など様々な視点からタスクシフト/シェアを見つめ直し、私たちメディカルスタッフが進むべき道をディスカッションとともに語り検討する。

IVR室やHybrid ORでは機械的循環補助(mechanical circulatory support : MCS)を導入する機会が多い場である。どのような状況下においても迅速に導入することはもちろんであるが、MCSのデバイス選択は、その後の集中治療室でも治療が続くことを見越して行われるべきであり、導入時からアセスメントを行い、管理期に繋げることが重要であると考える。
本セッションでは心原性ショック、重症心不全、体外循環式心肺蘇生(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation : ECPR)といった状況に適したMCSの使い方(役割)や選択方法、管理期を見据えた導入時のポイントなどをディスカッションしたい。

カテ室では厳重に梱包されたデバイスなどが多く、多量のゴミが発生する。さらに、滅菌物の取扱も多く不潔にしてしまった場合や、滅菌切れなどにより廃棄されるものも少なくない。また、コロナが流行した当初、マスク不足やガウン不足、物流が途絶えるなど医療資源の大切さを目の当たりにしたと思われる。本シンポジウムでは、各施設のECOに関連する工夫やリサイクルへの取り組み、限られた医療資源の物流が途絶え、資源がなくなった時に行った工夫などなどをお話いただき、コスト意識や医療資源の管理、「つかう責任」についても考えていきたい。

近年、医療現場におけるAIの技術発展は目覚しく、活用も増加している。その中でも特に画像診断におけるAI活用はいち早く研究・導入されており注目されている分野である。
本セッションでは、CT、MRI、Smart Hospital、Angioといった様々な領域でAIとの関りを持つ演者に現状をお話いただき、AIと共存していくための将来像を考え、我々が今、取り組むべきことについて議論を行っていく。

近年、全ての職種で課題となったTask shift/shareのTaskは、〔与えられた〕任務、課題と訳される。そして、それぞれの職種がTaskを再認識し、新たなTaskを取り入れるために試行錯誤している。忘れてはならないのは、「Taskは一日にして成らず」といったことである。現在、私達は諸先輩方が制度も環境も不十分な中で試行錯誤して業務に必要なTaskを見いだし、整備して頂いた中で完成され、敷かれたレールのうえで業務(任務)を遂行している事になる。
本企画では、先輩方に「大切にしてきたこと」「苦労してきたこと」「残された課題」を習い、これからの業務のあり方を考えるうえで、「維持すべきこと」と「発展すべきこと」を考えたい。

今後に向けての取り組み(法改正に向けての取り組み、スタッフ育成のための教育の取り組み、業務指針の作成状況)等について各団体の取り組みや今後検討している事項に関してご発表いただき、オーディエンスとディスカッションを行いたい。
また、CVITメディカルスタッフ委員会からは厚労省医政局に要望書を提出した後の取り組み、今後の展望等を発表していただく。