第31回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2023)は8年ぶりに九州・沖縄地区(福岡)での開催となりました。日程は令和5年8月4日(金)から6日(日)の3日間で、開催場所は福岡PayPayドーム+ヒルトンシーホークホテルと致しました。2015年夏CVIT2015は上野高史(久留米大)会長のもと、福岡ドームで6,000人近くの当時過去最高の参加者を集め、盛大に開催されたことは皆さんの記憶に残っていることと思います。この挑戦的な企画は、今日より明日より良い治療を求めて挑戦を続ける我々インターベンション医に大きなインパクトを与えました。
あれから、8年が過ぎ、医療を取り巻く環境は大きく変化いたしました。特に2020年以降のコロナ感染症パンデミックは、インターベンションの進化に大きく貢献してきたライブデモンストレーション、研究会、学会の開催に大きな影響を及ぼし、中止、延期を余儀なくされました。皮肉にも副産物としてCVIT-TVをはじめ困難と思われたオンラインを用いたライブデモンストレーション、研究会、学会が標準的に開催されるようになり、現地にいかずとも手技を学び、知識を習得することが出来るようになりました。日々の臨床で忙しい若手医師においてはとても有益な学習方法で、病院管理者においては医師を病院に留めておくことは病院経営的に有益であり、ハイブリッド開催に移行しても現地への参加は限定的に留まっています。

しかし、我々のCVITは今日治らない病気は明日治したいと願う、臨床医の熱い思いで発展してきた学会です。誰よりも患者に近いところで病気を感じ、介入してきたCVITです。この想いを実現するためにイノベーションを続けてきました。我々が目指すイノベーションは異なる仕方で新結合することであり、その実現には、様々な考えを有する医師が直接対面で熱い議論を行い、前進してきた歴史があります。ガイドラインを広めることはオンライン様式で可能ですが、ガイドラインを変えるための新しいエビデンス創出には対面様式が必須であると思います。この対面様式の必要性を、その価値を、あの熱気を、あの熱い夏の福岡ドームで思い出し、コロナ後の新たなスタートとしたいという魂の震えで、福岡ソフトバンクホークス株式会社、日本野球協議会と交渉し、開催にこぎつけることが出来ました。ご協力をいただいた関係各所の方々にこの場をお借りして御礼を申し上げます。是非とも、会員の皆様には現地にお越しいただき、一緒に魂を燃やしたいと思います。

この熱い学会のテーマはインターベンションのSDGs(Sustainable Development Goals)とさせていただきました。今、インターベンションは大きな変革期を迎えています。インターベンションの中心にいたPCIを取り巻く環境は大きく変化し、EVT、SHDは新たな領域として進化を遂げています。また、脳卒中・循環器病対策基本法が制定され、脳卒中と循環器病の年齢調整死亡率を5年で5%低下させ、健康寿命を延伸させるこが大目標として掲げられました。我々インターベンション医はこの目標を達成するために何が出来るのかを考え、行動しなければなりません。SDGsに込めた思いは、流行りのエコの意味では無く、30年前から始まったCVITの想いを後世に伝え、インターベンションの領域を持続可能なものにするために、新たな開発目標を明確にすることです。これまでは急性冠閉塞、再狭窄、血栓症などを開発目標として、ステント、DES、新たな抗血栓薬が導入され臨床的課題が解決されてきましたが、これからの10年は脳卒中、心不全、弁膜症、心臓突然死、大動脈疾患など新たな開発目標SDGsを設定しこれに向かって、挑戦を続けることが必要ではないかと思います。現状では臨床的課題未解決のACS(Vulnerable Plaque)、CTO、高度石灰化、左主幹部、CMD、CLTIなどは継続して開発目標SDGsに掲げなければならないテーマであります。これら開発目標SDGsの問題解決には医療機器開発は必須のものであり、国も骨太方針の中でこの領域に投資しており、すべてのテーマに産官学での議論を含めたいと思います。福岡はアジアのハブと言われ、国際的発展が期待される都市であります。CVITもこれから10年、中国、韓国、シンガポールとの交流のみならず、東南アジア諸国への教育、指導を含めたアジアとの交流を新たな開発目標SDGsに掲げるべきではないかと思います。現在、17の開発目標SDGsを企画しており、会員の皆様と一緒にインターベンションの過去を振り返り、現在の問題を整理し、未来への開発目標を、熱い議論を通じて明確にしたいと考えております。最終日の午後は夏休みの日曜日であり、一般市民にドームを開放し、最終医療提供者である患者さんに参画いただき、心臓血管病の怖さ、最新治療、予防について家族で楽しく学んでいただき、患者さんにも新たな開発目標SDGsを見つけていただく、一般市民講座を開催する予定です。

最後にコロナ感染拡大の影響でCVIT2023は当初の予定より1年遅れの開催となりましたが、同時期に福岡で開催予定の世界水泳も延期となり、CVIT2023会期の1週間前に行われます。会期がずれてホッとしておりましたが、世界水泳後に開催されるマスターズ世界水泳と会期が重なることになりました。幸い、医学系学会はすべて延期となり、この時期の福岡のイベントはCVIT2023とマスターズ世界水泳のみであり、宿泊ホテルの予約には心配ないと思われますが、お早めの予約をお勧めします。

コロナ後の本格的な最初の対面の学会となります。皆さんと一緒に、熱い福岡で、世界水泳と一緒にDeep Diveしたいと思います。
魂が震えている。魂が叫んでいる。福岡でお待ちしています。
To be involved in interventional cardiology, you must innovate.

第31回日本心血管インターベンション治療学会:CVIT 2023 学術集会
会長  横井 宏佳(福岡山王病院/福岡国際医療福祉大学)

第31回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT2023)は8年ぶりに九州・沖縄地区(福岡)での開催となりました。日程は令和5年8月4日(金)から6日(日)の3日間で、開催場所は福岡PayPayドーム+ヒルトンシーホークホテルと致しました。2015年夏CVIT2015は上野高史(久留米大)会長のもと、福岡ドームで6,000人近くの当時過去最高の参加者を集め、盛大に開催されたことは皆さんの記憶に残っていることと思います。この挑戦的な企画は、今日より明日より良い治療を求めて挑戦を続ける我々インターベンション医に大きなインパクトを与えました。
あれから、8年が過ぎ、医療を取り巻く環境は大きく変化いたしました。特に2020年以降のコロナ感染症パンデミックは、インターベンションの進化に大きく貢献してきたライブデモンストレーション、研究会、学会の開催に大きな影響を及ぼし、中止、延期を余儀なくされました。皮肉にも副産物としてCVIT-TVをはじめ困難と思われたオンラインを用いたライブデモンストレーション、研究会、学会が標準的に開催されるようになり、現地にいかずとも手技を学び、知識を習得することが出来るようになりました。日々の臨床で忙しい若手医師においてはとても有益な学習方法で、病院管理者においては医師を病院に留めておくことは病院経営的に有益であり、ハイブリッド開催に移行しても現地への参加は限定的に留まっています。

しかし、我々のCVITは今日治らない病気は明日治したいと願う、臨床医の熱い思いで発展してきた学会です。誰よりも患者に近いところで病気を感じ、介入してきたCVITです。この想いを実現するためにイノベーションを続けてきました。我々が目指すイノベーションは異なる仕方で新結合することであり、その実現には、様々な考えを有する医師が直接対面で熱い議論を行い、前進してきた歴史があります。ガイドラインを広めることはオンライン様式で可能ですが、ガイドラインを変えるための新しいエビデンス創出には対面様式が必須であると思います。この対面様式の必要性を、その価値を、あの熱気を、あの熱い夏の福岡ドームで思い出し、コロナ後の新たなスタートとしたいという魂の震えで、福岡ソフトバンクホークス株式会社、日本野球協議会と交渉し、開催にこぎつけることが出来ました。ご協力をいただいた関係各所の方々にこの場をお借りして御礼を申し上げます。是非とも、会員の皆様には現地にお越しいただき、一緒に魂を燃やしたいと思います。

この熱い学会のテーマはインターベンションのSDGs(Sustainable Development Goals)とさせていただきました。今、インターベンションは大きな変革期を迎えています。インターベンションの中心にいたPCIを取り巻く環境は大きく変化し、EVT、SHDは新たな領域として進化を遂げています。また、脳卒中・循環器病対策基本法が制定され、脳卒中と循環器病の年齢調整死亡率を5年で5%低下させ、健康寿命を延伸させるこが大目標として掲げられました。我々インターベンション医はこの目標を達成するために何が出来るのかを考え、行動しなければなりません。SDGsに込めた思いは、流行りのエコの意味では無く、30年前から始まったCVITの想いを後世に伝え、インターベンションの領域を持続可能なものにするために、新たな開発目標を明確にすることです。これまでは急性冠閉塞、再狭窄、血栓症などを開発目標として、ステント、DES、新たな抗血栓薬が導入され臨床的課題が解決されてきましたが、これからの10年は脳卒中、心不全、弁膜症、心臓突然死、大動脈疾患など新たな開発目標SDGsを設定しこれに向かって、挑戦を続けることが必要ではないかと思います。現状では臨床的課題未解決のACS(Vulnerable Plaque)、CTO、高度石灰化、左主幹部、CMD、CLTIなどは継続して開発目標SDGsに掲げなければならないテーマであります。これら開発目標SDGsの問題解決には医療機器開発は必須のものであり、国も骨太方針の中でこの領域に投資しており、すべてのテーマに産官学での議論を含めたいと思います。福岡はアジアのハブと言われ、国際的発展が期待される都市であります。CVITもこれから10年、中国、韓国、シンガポールとの交流のみならず、東南アジア諸国への教育、指導を含めたアジアとの交流を新たな開発目標SDGsに掲げるべきではないかと思います。現在、17の開発目標SDGsを企画しており、会員の皆様と一緒にインターベンションの過去を振り返り、現在の問題を整理し、未来への開発目標を、熱い議論を通じて明確にしたいと考えております。最終日の午後は夏休みの日曜日であり、一般市民にドームを開放し、最終医療提供者である患者さんに参画いただき、心臓血管病の怖さ、最新治療、予防について家族で楽しく学んでいただき、患者さんにも新たな開発目標SDGsを見つけていただく、一般市民講座を開催する予定です。

最後にコロナ感染拡大の影響でCVIT2023は当初の予定より1年遅れの開催となりましたが、同時期に福岡で開催予定の世界水泳も延期となり、CVIT2023会期の1週間前に行われます。会期がずれてホッとしておりましたが、世界水泳後に開催されるマスターズ世界水泳と会期が重なることになりました。幸い、医学系学会はすべて延期となり、この時期の福岡のイベントはCVIT2023とマスターズ世界水泳のみであり、宿泊ホテルの予約には心配ないと思われますが、お早めの予約をお勧めします。

コロナ後の本格的な最初の対面の学会となります。皆さんと一緒に、熱い福岡で、世界水泳と一緒にDeep Diveしたいと思います。
魂が震えている。魂が叫んでいる。福岡でお待ちしています。
To be involved in interventional cardiology, you must innovate.

第31回日本心血管インターベンション治療学会:CVIT 2023 学術集会

会長  横井 宏佳
(福岡山王病院/福岡国際医療福祉大学)